ちょっと前の話のになるのですが、7~8月頃に「街のあかり」という映画を見ました。
同名でチャップリンの"街の灯"という映画がありますが、そちらではなく、
アキ・カウリスマキというフィンランドの監督の作品です。
なんで見に行ったかというと、こちらの映画の評価が良かったのもありますが、
以前、同監督の映画でジョー・ストラマーが出てくる作品(ジョーはチョイ役)を見て以来、
気になる監督ではありました。
テーマは「孤独」です。
友人も家族もいなく仕事もイマイチで冴えない主人公が、それでも夢を持ち恋に落ちて希望をつかもう
とするお話しです。そして非情にも恋人に騙され、罪を押し付けられて、警察に追われる身になってしまう。
---と、ここから通常の映画だと逆転劇が始まるのですが、この主人公は一時でも夢や希望を与えてくれた
恋人を決して恨むことをしない。
この映画の評論で、"負け犬が世の中を救うかもしれない"と書いてあり、読んだ時は笑ってしまった
のだが、この映画を見た後にジワジワとこの主人公の負け犬っぷりが効いてきました。
上手くいえないのだけど、世の中には「理由なき悪」というものがある。特定の人物や事柄に対して
の恨みつらみは、ベクトルがその人物といった対象だけに向いてるのに対して、理由の無い悪意というものは
無差別に行われるわけで。(大げさにいうと戦争とか、怖い兄さんにカツアゲされるとか)
そんな時、自分だったらどうする・・・?と映画を見てて、嫌でも主人公に自分を重ねてしまうはず。
まぁ・・・最後まで惨めなストーリーは続くのですが最後はタイトル通り、小さな明かりが
主人公を照らします。
余談で、ライブハウスでのライブシーンがあるのだけど、そこに出てるバンドがエラクかっこよかった。
この監督、かなりの歳の方だと思うけれど、けっこうなロック好きだと思います。